脚立の日記

きゃたつのにっき

海辺の近くに住んでいました。

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こんにちは。脚立です。

 

毎年夏になると特に、海辺の近くに住んでいた頃のことが、とても懐かしくなります。

 

今年ハタチの娘の茶柱は、二歳半から小学校入学までの4年間を、その町で過ごしました。弟の八兵衛は、そこで生まれました。

 

旦那さんはがんばって、毎日ほぼ始発に乗って会社に通っていました。

 

けれど、そんな大変な思いをしても、毎朝駅のホームから、朝日に照らされる山々を見るのが清々しくて好きだった、と今でも言っています。

 

みんなそれぞれ、良い思い出がある町でした。

 

私にも、とても暮らしやすい町でした。

 

買い物は遠いし、コンビニは近くに無いし、坂ばっかりで自転車は使えないし、浜辺の砂が洗濯物につきまくりで、家の中まで入って床がジャリジャリになるけれど、とても暮らしやすかったです。

 

それは何故なら、見えないものが当たり前に見えてもいい町だったからです。

 

どうやらここでは、そういうことが起こるのはウチだけじゃなさそうだ、ということに気付き出したきっ掛けがありました。

 

娘の茶柱が幼稚園の年少になってしばらくした頃、帰宅してちょっと興奮ぎみに、

 

あそこの黒い壁に、目が、目が!!

 

と言うのですが、まだちっちゃかったので、話がだんご状態で口から一気に飛び出すので、さっぱり意味不明です。

 

要約すると、幼稚園の園バスで通るトンネルの暗い壁に、目がいっぱい見えるんだそうです。お友達の中にも、見える子がいた!と言うんです。

 

そこで次の日、茶柱はもしかして、ペンキか何かで書かれた絵のことを言っているのかな??と思った私は、事の真相をはっきりさせようと園バスの付き添いの先生に聞いてみました。この先生は、かつてこの幼稚園の保護者でもあった地元のベテランママさんです。

 

すると、先生は、

 

あ~、あそこの隧道ですねえ~。あそこの壁に目が沢山見えるっていうお子さん、結構いるんですよ~。

 

とおっしゃいました。しかもあっさり。

 

でもまだ???な私は、

 

人の目、ですか?

 

と聞いたら、

 

人の目です!!と。

 

どうやらこれは珍しいことでもない、あるあるの話でした。

 

さらにそれは、この隧道だけに限ったことではありませんでした。

 

弟の 八兵衛が家のトイレを開けっ放しにしてりきんでいると、必ず八兵衛の目が右から左に泳いで誰かを追っているようだ、という話を友達のママさんにすると、

 

あ~、うちも彼らの通り道があるよ~。うちは玄関からリビングの横のライン。

 

という返事が当然のように返ってきます。

 

それから、

 

夕飯後のお茶を、食卓を囲んで飲んでると、3人兄弟の3歳の末っ子が、

 

なんでこのおじさんには、お茶をあげないの??

 

って言うのよ~、というお宅もありました。

 

このお宅は家族が多く、食卓の椅子がベンチ式なので、このおじさんは一緒に並んでニコニコ座っているんだそうです。

 

この町では、こういう話は日常的に話され、こういうことが当り前の上に暮らしています。

 

この町に暮らしていると、私自身も今まで以上に見えないはずものを見たり、聞こえないはずのものを聞いたりする頻度は格段に上がりましたが、みんながそうなのでとてものびのびと暮らせる場所でした。

 

 

 あれから10数年たった今、私の身長を越してしまった茶柱と八兵衛に、

 

ふたりとも、あの町でこんな不思議な事、言ってたよね!

 

と、思い出話に花を咲かせようとしても、私を中二病患者を見るような、いたわりの目で見るだけで終了してしまいます…。ハハハハ、ハハ…。